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2011.02.05

お勉強のお話

ワクチンの定義って難しいですね。
教科書だけでは埋まらない感じがしたのでちょっとまとめてみました。

薬理学テキストP102によると・・・
 生ワクチン  →生きた病原体を弱毒化させたもの・・・麻疹、風疹、ポリオなど
 不活化ワクチン→不活化させた病原体やその一部を使用したもの・・・百日咳、日本脳炎など
 トキソイド  →病原体の外毒素を使用したもの・・・ジフテリア、破傷風など

2011年度版国家試験問題の解説P687によると・・・
 DPT混合ワクチンやDT混合ワクチンは不活化ワクチンである。

小児概論テキストP248によると・・・
 ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンの2種に大別される
 生ワクチン →生きた病原体を弱毒化させたもの
 不活化ワクチン →不活化させた病原体やその一部を使用したもの(広義)
  ①不活化ワクチン(不活化病原体(狭義)・・・※日本薬学会によると全粒子ワクチンという)
  ②トキソイド(外毒素を無毒化したもの・・・病原体の一部と解釈)
  ③成分ワクチン(特定の抗原を精製したもの・・・病原体の一部と解釈)

日本薬学会によると、①不活化ワクチンのことを全粒子ワクチンと呼び、
不活化ワクチンは①②③の総称であると解説している(小児概論テキストと同じ説明)。
そして、DPT混合ワクチン(三種混合)は③成分ワクチンであり、
DT混合ワクチン(二種混合)は②トキソイドであると続けている。

ワクチンのメーカーノートでは、
ジフテリアと破傷風は沈降トキソイドを使用(つまり②のトキソイドに当たる)と明記してあり、
百日咳は抗原を使用(③の成分トキソイド)と明記している。

Wikipediaによると、百日咳に使用されるワクチンは全細胞性wPと非細胞性aPがある。
全細胞性wPは①の不活化ワクチンであり、非細胞性aPは③の成分ワクチンである。
DPTワクチンにはDwPTワクチンとDaPTワクチンがあるが、
1970年代に健康問題が起こったため、1981年以降はDaPTワクチンが定期予防接種に使われている。

日本薬学会の解説とメーカーノートなどの解説を合わせると、
DPT混合ワクチンは②と③を合わせた広義の不活化ワクチンであると捉えるべきかもしれない。
そうなると、薬理学の説明は、広義の不活化ワクチンの説明を飛ばしたことになり、
誤解を生んでいることになる。

東京アカデミー第2回全国公開模擬試験の午後問33では・・・
33 予防接種法に定められた定期の予防接種で正しいのはどれか?
  1. 破傷風のワクチンは不活化ワクチンである
  2. BCGワクチンは原則として生後22~24ヶ月に接種する
  3. 麻疹は二類疾病である
  4. 予防接種の実施者は都道府県知事である

正解は1である。普通、破傷風ワクチンを不活化ワクチンと称することはない。
破傷風ワクチンの分類を聞かれたなら、(沈降)トキソイドですと答えるだろう。
しかし、ここまでの説明を改めて聞くと1は正解であるとも言える。
もしも不活化ワクチンです答えて怒る先生がいたら、
ちょっと待ったと言わないといけないかもしれない。
もっとも、狭義の不活化ワクチンっていう考え方自体がナンセンスであるが・・・

例 予防接種の対象疾患とワクチンの組み合わせで正しいものはどれか?
1. 麻疹  ――不活化ワクチン
2. 日本脳炎――不活化ワクチン
3. 破傷風 ――不活化ワクチン
4. 百日咳 ――トキソイド

なんて問題があったら、普通は2を選択するだろう。
しかし、よーく考えると2も3も正解となる。
ただし、広義と狭義を卑しく使い分けている上に、
トキソイドという言葉まで入っているのは出題者のスタンスを疑う。
ちなみにこの問題を作ったのは私である。あくまで実験のため。

あー・・・やだやだ・・・

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